終わりと始まりのマイルス(1)

終わりと始まりのマイルス1 (Fx COMICS)

終わりと始まりのマイルス1 (Fx COMICS)

世界の中心から浮上してくる物体に蓄えられた“炁”(き)と呼ばれる生物の思念が形成する虚像“炁物”で成り立っている、球体面的に大陸が点在する架空の世界“オービスワーヌス”を舞台に、炁物の管理を一手に引き受ける“炁祷師”という仕事に従事する少女マイルスとその相棒にして炁物でもあるギカクの活躍を描く鬼頭先生の新シリーズ。3年前から始まってたみたいですけど。

物に込められた炁が大きいと神格化するとか軍事兵器には負の炁が溜まりやすいらしいとか炁物を使う場合はその炁と使う人の魂との折り合いが必要だとかその他簡潔に行こうとしたらどうにも纏めきれないなんやら小難しい設定を内在する世界観と(巻中に説明ページを設けてるぐらいですので)膨大な性欲(炁)と炁物としての性質ゆえにかつて破壊の神と恐れられたギカクの暴走対策のためにマイルス嬢が定期的に体を張って“癒し”てあげなければならないというエロゲのような関係性を内包した、なんだからしくないポップな雰囲気が満ち満ちています。ギカクにホの字で声の小さいツンデレ気味なムッツリスケベのもうひとりの炁祷師・キオノナ嬢やら本当にらしくないキャラ配置で、禍々しさはあれどどこか憎めない奴らの跋扈するコメディ路線はうっすらぼんやり思い出される『なるたる』のごくごく初期を思わせるようで今となっては新鮮。『なるたる』はストーリー的に瞬きのような勢いでスパっと暗転していった気がするのでこれも油断は出来ないんですけども、できればこのままの路線で行って欲しいです。

そしてどうにも巧く纏められない。