C SCENE 武富智短編集

C scene―武富智短編集 (ヤングジャンプコミックス)

「この恋は実らない」終了以降の読み切りに描き下ろしを加えて1冊にまとめた3冊目の短編集。多分。最初の話に百合子お嬢様が出てる気がしますね。

幸せの中から針で刺した後の血みたいに滲んでいく痛み、絶望の果ての希望。日常というスケールに落としこんではあるものの、全ての話の大体の主要人物が皆、その表情だけで彼らの人生の描かれざる部分まで見えてきそうな描写力といったら。この鬼気迫る感じは凄まじいですね。それだけに幕間のラフスケッチが酸素缶のような、有酸素運動の後に一杯飲む水のような塩梅でこちらもなくてはならない重要なピース。「スウィート10ショット」も好きですが、構成・演出ともに度肝を抜かれたのがアオハルかなんかに載ってた直近の読み切り「SUPER HEROINE」。ヒロインが出てくるのは回想の4ページ足らずで基本圧倒的なまでにヒロイン不在で物語が進むのにどうしたって圧倒的なまでに鎮座するヒロインの存在感。堪能致しました。こりゃあAもBも揃えねばならない。何処行っても置いてないけど。