Radiohead / The King of Limbs

The King of Limbs

The King of Limbs

3年ちょっとぶりくらいになる8作目。

エレクトロニカとバンドサウンドが程良く合わさっていた前2作よりも「KID A」やアムニージアックぐらいの頃に戻った感じ。冷悧で淡々としたサウンドスケープの中で生音の存在感は埋もれてしまっているけれど時折、練り上げられ緻密に組み合わされた電子音の継ぎ目を縫うようなベースがビートを度外視したナチュラルなグルーヴ感をもたらす瞬間がままあるなど、単なる回帰作に留まらぬワクワク感を与えてくれます。

トムが奇橋的なダンスを踊るPVが印象的なM-5「Lotus Flower」以降はレディへのパブリックイメージとも言える繊細な音像を湛えた曲が続き、ピアノの旋律に彩られつつ暗がりの果てにトンネルを抜けたような気持ちになれる、シガーロス「()」を聴いた後に近い感覚を覚える「Codex」で締め。8曲37分という短さではありますがその実はとても濃密、トムのソロ作に見られたような、顕したい世界観を解りやすく伝えんとする気概を感じるアルバムであるなあとは思いました。