のりりん(1)

のりりん(1) (イブニングKC)

のりりん(1) (イブニングKC)

自転車を見れば殺意すら滲むような毒を吐くカーキチ(死語)の会社員がロードレーサーの女の子を轢きかけるところから始まる一大スペクタクル。になればいっそ安心できるんだけどな。

会社員の方、丸子一典の「のり」と女の子の方、織田輪の「りん」で「のりりん」じゃないかと思われる鬼頭先生の、中綴じ誌での新作なわけですが、似たような時期にグフタで始まった「なにかもちがってますか」がいつも通りのテイストなのに対して、こっちはのんびりのほほんと現代劇が紡がれていて逆にスリリング。

冒頭で丸子がりんちゃんを轢き殺さなかったのが「SAW」のようにターニングポイントになって普通に自転車ものが描かれていくのならそれでいいけど、いつあのロードバイクがライドバックに悪意と殺意を上乗せしたようなフォルムに変形して民草を蹂躙するのかというのはどうしても過ってしまう。どっちに転ぶにしてもラーメン屋を営む輪ママが存在としては一番怖い。