ヴィンランド・サガ(9)

ヴィンランド・サガ(9) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(9) (アフタヌーンKC)

アシェラッドが死んで生きがいを失ったトルフィン、流されるままに奴隷として農場で働く奴隷編スタート。奴隷生活がメインの巻ですがアシェラッドの死後、着々と覇業を成し遂げるクヌートと死んだ魚のような目で日々を生きるトルフィンとの対比がくっきりと表れてる。前の巻で錯乱したトルフィンが切りつけた時の傷が、新たなるイングランド王の頬に確りと刻まれている辺りからも2人の道はいつか再び交わる事を視覚的に約束してくれているかのように感じられます。

剣戟のほとんどない、まあパッと見地味に進んでいく新章ですが、周囲360度人殺しばっかりだったこれまでとは違う人間との関わりが描かれているというところで、父トールズがかつて体現した“本当の戦士”像に近づく布石となる大事なシリーズなんではないかと。