ハルシオン・ランチ(1)

ハルシオン・ランチ 1 (アフタヌーンKC)

ハルシオン・ランチ 1 (アフタヌーンKC)

名ばかりのランチ漫画の感想を、ランチの女王を観ながら。

よその天体からやって来たヒヨスは魚から無機物から人間まで、大質量の物もマイ箸で圧縮して何でも食べる謎の生命体。そんな彼女(?)が地球で保護者に選んだのはアラフォーのホームレス。そして彼の周辺にはDQNに逃亡者と、見事にダメ人間ばかりが導かれていく。圧倒的なディスコミュニケーションが織り成す理系エセグルメコメディ。

この漫画の最大の特徴は、ヒヨスの「何でも食べる」設定に「2種類以上の物を食べた場合、約12時間以内なら吐き出す事が可能。ただしランダムな比率で混合される」というオプションが加えられている事。ヒヨスがうっかり人間を食べた場合、12時間以内なら生きたまま吐き出す事もできるわけですが、他に食べた物と混ざってしまうので食われる前の姿に戻すためには食ったり吐いたりを繰り返す必要が生じるわけです。

この条件のために食うことよりもむしろ吐くことがメインな漫画になってるわけで、紙面は自然と様々なパターンで変態する魔獣たちと嘔吐に苦悶するヒヨスの顔に割かれていますが、この構成からは作者が実に楽しんで作画してそうな旨も伝わってきますし、読者の受け取り方の幅も広がるでしょうしみんながハッピーになれる要素が多分に含まれてるんじゃないかと思うわけです。あらゆる方面から盛りに盛った小ネタも味付けが馬鹿馬鹿しくってニヤってなる。こういう人が手料理紹介ページなんか描いたりすると試してみたくなるなあ。