解雇手当

解雇手当(ハヤカワ・ミステリ文庫)

解雇手当(ハヤカワ・ミステリ文庫)

フィラデルフィアにある37階建て高層ビルの最上層にオフィスを構える金融会社。重役会議という名目で酷暑の8月、土曜の早朝に出勤を命じられる7人の社員。集まった彼らは社長に、オフィスの完全封鎖と通信手段の断絶、そして会社の廃業を告げられる。社長から彼らに与えられる“解雇手当”――その内容は、服毒自殺か射殺かの決断を迫られるものだった……という話。

バトル・ロワイアル』や『そして粛清の扉を』あたりに近い感じなんですかね。山田悠介さんあたりもこういうの得意そう。読み進むにつれ会社や社員達が裏の顔を持っていることが解ってきて――なんてのは常套展開ですけれども、ただこの作者、アメコミの原作とかやってるみたいなんで、ミステリにも関わらず、ラスト以外は細かい事を考えなくても読み切れるところはアメコミやアクション映画を意識したような力押し。女性の強さが大輪の花を節操無く咲かせまくる内容と、頭なんか使わず拳と鉛弾で活路を切り拓く彼女らの姿がとにかく躍動感に富んでいて、それだけでページを繰ることを最優先にさせられてしまう強引さがあると思います。でもとにかく興味をひきつける帯やあらすじに、内容が負けちゃってる感じはちょっとします。

あ、ライオンズゲート制作で映画化が決まってるんですって。