前夜祭
- 作者: 小田扉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/03/23
- メディア: コミック
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前半はモーニング・ツーで連載されていた表題作全9話、後半は最近の読切で足りないページを補填した短編集。題字はこうの史代。
気が弱くて引っ込み思案なところがある中学生・吉井よし子を中心に、なにかと彼女を構うバカ男と向こう見ず女と陰険女(×2)がそれぞれの思惑を絡めて学園ドラマが形になっていき、文化祭の伝統的な催事である“泥祭り”、ひいては祭りの実行委員長である“泥王”の座をめぐって予想だにしない方向へ話が動いていくという次第の『前夜祭』。泥祭りや泥王の設定もさる事ながら「キューピッドの矢を相手に射る動作をしてそれが命中するまでの間に四股を10回踏む」おまじないとか小ネタには変わらずのシュールさを滲ませながら徐々に起伏を設けて読後にはちょっとした余韻すらもたらす全体像は、まさに小田節。ナンセンスと哲学の狭間で人生を語るおっさんの描写にはそろそろ定評があってもいいんじゃないかと思いました。
後半の読切。『ワタ毛男』と『もどき』が秀逸すぎる。斬新な切り口とは呼べないかも知れないけど、独特の空気が「そうきたかー」と思わず膝を叩かせてくれます。