シュメール星人(1)

シュメール星人 1 (ヤングジャンプコミックス)

シュメール星人 1 (ヤングジャンプコミックス)

西暦2002年、偶然地球に流れ着いた地球外生命体・シュメール星人。有史以来初めて遭遇する異星人を目の当たりにした人類は驚嘆と熱狂を以て迎えるのかと思いきやその文明水準があまりにもがっかり過ぎて日韓ワールドカップまでの繋ぎにも満たないまま彼らの存在は風化していく。そして4年後の2006年、1人のシュメール星人に“駐日異文明ふれあい大使”として白羽の矢が立ち、地球への適応性を人類に示すために日本での生活が始まる……というショートコメディの第1巻。ウルトラジャンプと、webでも同時連載中。

それ町』の石黒正数先生のアシスタントでもあるツナミノユウ氏の初連載作という事になるんでしょうかね。完成されたひとつの社会に異星人がひとり、という完全無欠のいたたまれなさに加えて他人にかけた情けがことごとく報われない結果になり常に涙目状態、もはや誰のためにもなっていないという哀愁溢れる構成は、「今のご時世余計な事はしないが吉」というのを逆に雄弁に語っているようで面白くも切ない。

シュメールさんのみ(身)に降りかかるトラブルの数々は非常に日常的で、あるある感に満ちながらもみみっちいのばかりなんですが、偶然の連鎖をテトリスのように幾つも経て奇跡の域にまで昇華させる踏んだり蹴ったりぶり――あるいは堕ちて行く時の容赦のなさは小気味いいテンポも相俟ってネタの緻密さをも窺わせてくれます。コメディものでめくりの瞬間にワクワクしたのって久しぶり。19話も収録されててシュメールさんの人の良さが報われた話が1話しかないというのも哀愁を誘います。