湯川潮音 / 灰色とわたし

灰色とわたし

灰色とわたし

2年半ぶりの5thフルアルバム。栗コーダーカルテットとコラボした曲は未収録。

ちょこちょこと燃料は投下されていたので飢餓感は薄かったけれどフルアルバムとなるとやはり格別。彼女の音像はやはり歌ありきであり、歌の力を際立たせるための絶妙で魅力的な音の配置には今作も絶妙で痛快で言う事ないのですけれど、今作がそれまでと一線を画すのは空気感。これまではなんかこう、どこか閉じたというか、御伽噺というか箱庭感のようなものがあったように思ってたけど、今回は音ひとつひとつ、歌声もかなり突き抜けて聴こえる。タイトルと裏腹の開放感。

作風的にはやっぱり『逆上がりの国』を彷彿とさせるフォーキーな感触を強めた出来ながら、更なる展望を感じさせる目覚しさが眩しい1枚です。あとはカバー曲と思われるM-7。やっぱりあの、このまま半永久的に損なわれることは無いんではないかと思われる瑞々しさで以て朗々と日本語を紡ぎ上げる潮音さんこそが最強であろうというのは疑いようも無いことではありましょうが、英語を歌う彼女と言うのもまた新鮮であり。そろそろ行っとかないとなあ、ワンマン。