百舌谷さん逆上する(1)

百舌谷さん逆上する 1 (アフタヌーンKC)

いやあもう、年間ベストは決まっちゃったかなあみたいな。

『ナツノクモ』の篠房六郎先生がアフタヌーンに帰還。ツンデレとは「ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害」という正式名称まであってしかも遺伝する立派な病気なんですよという設定の下、まさにそれに罹患している少女・百舌谷小音が東京から東京でない小学校に転校してくるところから始まるバイオレンスでマゾヒスティックなツンデレストーリー。

TV雑誌がドラマを特集する時の、「こうやっとけばいいんだろ？」というツンデレ度チェックみたいな脊椎反射っぷりが横行する中でこの徹底した掘り下げ方は見事。ツンデレの概念もキャラも神経質なまでに突き詰められ練り上げられ、ラブコメ物として捉えても予測の出来ない展開で面白い。世間一般の認識と一線を画した表現を敢行しつつも世間一般で良く言われてるところのツンデレ像に対するニーズにも応える器用さ、バランスをとる巧さが溜め息モノで、そういうところってほら、デレじゃないですか。読者に対する。