Melting Pot Vol.4 MARK KOZELEK@吉祥寺MANDA-LA2 05.14

P-Vine Recordsが企画する、才気に満ちた外タレを招聘してワンマンをやってもらおうというライブイベント『Melting Pot』。Dot Alison、Damon&Naomi、Jeff Langに続いて絶妙なタイミングでP-Vineさんが捩じ込んできたのは、スロウコア/サッドコアの重鎮にして無冠の帝王、いくつもの名前を持つも見せる顔は同じなMark Kozelek

意外にも吉祥寺公演のチケットが取れたので行って参りました。ギリギリ間に合うように行ったんですけども南口に降りるのは初めてで、しかも間違えて曼荼羅の方に行ってしまって(逆方向)数分迷ったのでライブには軽く遅刻。初めて行ったMANDA-LA2は渋谷のチェルシーホテルに輪をかけて狭くて集客はぎっしり、インストアライブでももう少し距離があるだろうというほどに後方からでもステージは近い。それはいいけど弾き語りのスタイルに合わせてか席つき(座れず)。酒代は¥700と高めで、入り口と反対側にあるバーカウンターまで辿り着くのも一苦労とちっさい不満はいくつかあったもののギターが鳴ってるのを聴いてマークが歌ってるのを観ればそんなものは平等に吸い込まれていくブラックホールライブ。

お供はRed House Paintersのギタリスト、Phil Carneyのみで共にセミアコだけ、O-Nestがどんなんだったかは解りませんけどこちらは完全に後夜祭のような雰囲気で。しかしマークさんの表現力は凄い。名曲はギター1本でも充分名曲として響かせることが可能なのだよと言わんばかりの確固たる演奏と声音だけでなく空気までCDと同じ世界観を演出してしまう、もう笑うしかないくらいの安定感。曲が終わるごとに丹念にチューニング、次の曲の1フレーズを試奏するネタバレも厭わない徹底振りも印象的。音楽が孤高すぎるせいか朴訥で気難しいイメージのあったマークさんですが、合間合間にジョークを飛ばし、自身の音楽性を気にしてか近くの客に「眠い?」みたいな風に話しかけてたり本編中にも関わらずリクエストを募るなど、案外崩れた相好だったのも印象的でした。むしろ相棒のPhil Carneyの方がMCの間中黙々とチューニング、マークと喋る時も目を合わさないなどの愛想ナシ男な様子が目立ってたくらいでしたけど、彼のそういう職人ぽいスタンスは全編でプレイに顕れていたと思います。すげえいい演奏でした。

ストロークでジャカジャカやってた曲は1曲くらいで、大体はフィンガーピッキングと流麗なアルペジオで聴かせてくれた今回のライブ、Sun Kil Moon名義の曲がメインではありながらも『Have You Forgotten』などのRHP名義の曲もちょこちょこ披露され、一連のプロジェクトを聴き込んだマーク好き垂涎のセットリストで、マーク1人だけで行われたアンコールでは2回もリクエストを請うなど終始自然体でご機嫌でございました。『Michael!』のレスポンスが返って来た時は勘弁してくれよ的な顔をしてたけど却下されたんだろうか。

とにもかくにも、瑞々しい枯れ具合が光る名演で御座いました。