ブラッドハーレーの馬車
- 作者: 沙村広明
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2007/12/18
- メディア: コミック
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『マンガ・エロティクスF』連載作品。完結。
ヨーロッパのどこかの国。有数の名家であり、繽粉たる舞台で観客を魅了する“聖公女歌劇団”と呼ばれる劇団を擁するブラッドハーレー家。劇団員は孤児で構成されているという噂が実しやかに流れ、同家が年に1度国中の孤児院から少女を1人養女として迎え入れているという事実も相俟って、孤児院で暮らす少女たちの憧れであったブラッドハーレー家。そんなブラッドハーレー家に招かれ、実際に夢への切符を手に入れたはずの少女たちが馬車を降りて垣間見るものは――という話がオムニバス形式で描かれています。
あとがきの通り、最初こそエログロを描こうとする気概が窺えたものの途中からその志がみるみるしおれていく軌跡が克明で逆に清々しいです。人間ドラマに傾倒していくんですがことごとくハッピーエンドで終わらないところも沙村さんらしいような。とはいえ各話さすがに面白く、洋モノへの憧憬の強さが相変わらずほとばしっているようなそうでもないような、とにかく描きなれてるであろう『無限の住人』とは違ってやっぱり緊張感みたいなものがこびりついてた作品ではありました。最後も綺麗にまとまってて。厨生の登場は素直に嬉しかった。役回りが洋邦共に似たようなもんだったのも素直に嬉しかった。